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避暑地

高村而葉


欲望がなくなればこの地上に人はいなくなる
  あたりまえのこと
       避暑地で、さむけがして
     ドゥーラヴィリア
   意味のないことを口にした
歩きつづけるというのは一本足で立つことだ
    これも意味のないことだ、ドゥーラヴィリア
 木陰で風がページをめくる
    それをそのままにして
ドゥーラヴィリアは人工甘味料が嫌いだ
          けれど人混みは嫌いじゃない
   日射しがふいにページを真っ白にする
やあドゥーラヴィリア
    欲望がなくなればこの地上には
 素敵な男女の恋物語なんてなくなる 
       静かな丘に飛びざま蝉がジジと鳴く
     誰もいない
ドゥーラヴィリア
  誰もいないと呟いてみた誰もいないから
        さむけがする、避暑地で
      ここがどこだったか考えている、あなたが
  ドゥーラヴィリア、は先端恐怖症であり
     アタッシュケースの中にはちいさな兵隊
 高原を回遊する、二本足で
  とにもかくにも下りなければ、一本足で、歩くこと
      わたしたちは欲望です
  この苦さはくすりのごとく喉をしめる
    キューキュー笑って、笑って、ドゥーラヴィリア
      キューキューキューキューキューッ
避暑地を後にして
   理解するには
      池の水をのみほしなさい、なんて
           無茶を言うね、ドゥーラヴィリア
     それぐらいでのみくだせるほど
             ちいさな丸薬でもあるまいし



高村 而葉(たかむら じよう)

大阪市大正区生まれ。
2009年、第47回現代詩手帖賞受賞。


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1 コメント “避暑地”

  1. ゼットン より:

    今回はジグザグのおもしろさですね。

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