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悲しみは指を伝い

竹浪明


抑えていた悲しみが指を伝い
キーボードにしみてゆく。
悪夢の水が阿弥陀籤を描いて広がる。
どの線を辿っても落ちるところは一所。
やがてモニターに砂粒が遊び出す。

悲しみは脳の一データに過ぎないが
手を震わせ足をふらつかせる。
口を渇かせ目を泳がせる。
悲しみはどこにでもついてくる。
モニターは砂嵐に覆われた。

雨は涙を流さず風は涙を拭わない。
阿弥陀籤の水が砂地にしみ込む。
モニターに曲がった指の影が浮かぶ。
アシカが鼻先にボールを乗せながら
果てない砂漠を這ってゆく。

悲しみのシーンはその予兆から
手のひらのモニターに繰り返し蘇る。
転がってきたボールを足で止め損ねた。
子供が傍らを走り過ぎてゆく。
水が阿弥陀籤を描いて広がる。

語らなければ誰にも知られない。
知られなくても後戻りはできない。
アシカはまだボールを落とさず
上を向いたまま砂漠を這い回る。
モニターを消しても悲しみは指を伝い…



竹浪 明 (たけなみ あきら)
http://takenamiakira.jp
映像作家・文筆家・東京造形大学映画専攻非常勤講師。
「蘭賞」(俳句)、「平間至写真賞優秀賞」「文芸社ビジュアルアート社長賞」他受賞。
俳句×写真集『恐竜×ヴィーナス=17文字』(文芸社)、 写真集『象と大樹と子供たち』(角川学芸出版・収録写真によるTシャツが「赤十字グッズ」に)他。
監督映画『のら暦*ねこ休みネコ遊ビ*』(UPLINK)他。

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1 コメント “悲しみは指を伝い”

  1. Victoria Romero Silva より:

    Me queda tu enseñanza:
    Tristeza es un conjunto de datos
    sólo en el cerebro

    Me hace reflexionar

    Victoria

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