友人の堂園くんが何か話すと聞いたので、知らない人ばかりでは心細いだろうなと思い「未来」の新年会に参加することにした。一月十七日。神楽坂。日本出版クラブ会館。
午前中は「昨年の歌集について」。九冊の歌集をとりあげる。このパネリストの中の一人として彼はいたのだった。
短歌、結社、人とのつきあい。ぜんぶよくわからない。だから、こういう場所での振る舞いがわからない。だけどがっこうはきらい。それだけはよく覚えているので「未来」をがっこうにしたくはなくて、だから飲みこまれたくはない。こわごわ、わたしはそこにいた。そのような中で印象的だったこと。
会場の後ろのほうから見える発話者の様子は一・〇に満たないわたしの目にはぼんやりとしたものだったけれど、大田美和というひと。その人ひとりだけは違っていた。
赤い服を着ていらして、だから遠くからでも目に認識がいき、話される様子、その全体が、とてもしなやかでエネルギーに満ちていた。枠に入れられた「ありもの」を見ているのじゃなくて、次の瞬間どうなるのかわからない「今」動いている「いきもの」だった。このひとだけが何というか突出して「いきもの」だった。うつくしかった。司会である黒瀬珂瀾という人にはっぱをかけるようなところもあったし、エネルギーを流すような気配もあった。
「黒瀬さんが30歳くらいの人のリーダーになればいいのに」とこの頃思っている。
わたしが勝手に思っているのにすぎないけど、大田さんも思っていらっしゃるから、ぴゃっと球を投げたのではないか。この辺りの壇上での感情の飛び交いを、ひとりの部屋でラスクを食べるようなわくわくした心地で見せていただいた。何にせよ、すてきな一球だった。
さて堂園くんは。いつもよりていねいな日本語で、でもいつものようにおだやかに話し終えたので、わたしの用は無事に終った。
お昼は、吉野亜矢さんとカレーうどんを出す店でカレー雑炊を食べた。
お財布だけ手に持って坂を下る吉野さんと歩いていると、自分も「OLさん」になったような心地がした。
吉野さんには、お目にかかるのが、まだ二度めくらいであるのに何だか個人的なことを話した。何々で何々で何。生きていれば、いわゆる社交辞令しか話さないまま手を振ることもあるのだろうけど、そういったことを飛ばした会話だったような気のする。
それはうたというものが、いろんなあれこれを削いで、削いだうえに残る言葉だからだろうか。それをやっているもの同士だから、常つきまとう「何々で何」を飛ばしたのか、あるいは飛ばせたのか。そんなことを後から思った。
新年会に参加させていただいたことも、堂園くんと友人であるということも吉野さんとお昼を食べたことも。うたというふしぎなつながりを思う。
午後からは参加者のうたの評が流れる。自分のうたが人前にさらされるというのは ひどくはずかしいということ。同時に、居心地のいいところにだけいればいいというのでは もうない。ということ。
こころがたくさん動き、持ちかえるものの多い一日だった。
どうもありがとうございました。
(初出「未来」4月号)
新年会印象記
今橋愛
今橋 愛(いまはし あい)
1976年大阪市生まれ。歌人。
2002年、「O脚の膝」100首で北溟短歌賞受賞。
著書に歌集「O脚の膝」。同人誌〔sai〕、snell、未来短歌会に所属。
ホームページhttp://www.aaaperson.jp/















