目覚まし時計のセット時刻を
眠っている間に変えたのは
誰のしわざ?
窓はすでに塩の白さ。
影はカタツムリのように身を潜め
白い微笑の浮彫りが顔の裏へ退く。
薔薇色の夜明けはもう飛び立ってしまった。
猫がサボテンの尖塔の上で昼寝している。
あの猫のしわざだろうか?
棘だらけの固い舌の先に
軟らかな太陽と添い寝している。
夏は心を閉ざし
道という道を塩で舗装した。
汗も涙も白い粒となって路上に落ちる。
ほんの一億年前まではここも海だった。
カタツムリの殻の中で
魚の群れが渦を描く。
触角の内に潮が満ちては引き
眼球の内に空が引いては満ちる。
いくつの殻が
時を巻き継いできたのだろう?
サボテンを真っ逆さまに駆け下りて
猫がカタツムリを突き転がす。
殻の中でサンゴとクラゲが火花を散らし
殻の外で眠っていた時計も騒ぎ出す。
化石に恐竜の血が巡り
サボテンが花の塔となる。
目覚ましが眠れる塩の街に鳴り渡る。
眠れる時計
竹浪明
竹浪 明 (たけなみ あきら)
http://takenamiakira.jp
映像作家・文筆家・東京造形大学映画専攻非常勤講師。
「蘭賞」(俳句)、「平間至写真賞優秀賞」「文芸社ビジュアルアート社長賞」他受賞。
俳句×写真集『恐竜×ヴィーナス=17文字』(文芸社)、 写真集『象と大樹と子供たち』(角川学芸出版・収録写真によるTシャツが「赤十字グッズ」に)他。
監督映画『のら暦*ねこ休みネコ遊ビ*』(UPLINK)他。















