六本木詩人会 六本木詩人会 ホテルアイビス六本木

抒情小曲集ショート・ピース

高塚謙太郎


 (No4)

キラーパスを受けて雨のなか水門に向かって息きらし
切れたほどの「水門」前夜は雪のかなたの
川のように思えなかったから全身ずぶ濡れになってまで息をし
岸辺の途絶に
今の夕べが
目撃に艶めいて声が舞い拾われるほとほとと「岸辺」の
子どものドジをみている
野の原が
霙の左側を過ぎると右は下流の余命
「キラーパス」の息ほどの丘をめざしていた
開門の諸刃を走りぬけ遣り水
上腕をかかえ迎えただしく雪のずぶ濡れをまつ
「岸辺」の向かいの雪のさらさらと
その「途絶」のさき角を曲がると詠嘆しかなかった
なだらかな消えゆく草々つらなる「水門」によどんでいるふりして夕べ
そうだった夕べのまちぶせから一冬ほどのかなたにひるがえる
はなはだしい「野の原」に顔をうずめ声に耳を澄ましつつ
捩れる「岸辺」の「ほとほと」と差し向かい
ゆっくりと静かに開門してゆく刃をつたい堰きって
(ひとりころしてスペースが生まれ)
水門は今朝も濡れている



高塚 謙太郎(たかつか けんたろう)

1974年、ブラジル・サンパウロ生まれ
大阪在住
「詩学」「現代詩手帖」「ユリイカ」投稿欄を経て現在にいたる

第1詩集『さよならニッポン』(思潮社)
詩誌「ウルトラ」同人
ネット詩誌「四囲(she)」同人
個人詩誌「厩」主宰


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