毎日あなたに
包帯を替えてもらう。
傷口の形は毎日変り
その分痛み方も変る。
包帯は痛みを和らげない。
ただ傷を見えなくするだけ。
それで私が保たれる。
手の届かない所に傷口はある。
私の手だって成長し
伸びるが傷は逃げて行く。
あなただけだ。
切り裂いたあなただけが
傷の形を知っていて
包帯を取り替えられる。
生きれば生きるほど
傷の輪郭ははっきりし
人の形が薄れていく。
最早傷として私は
夏の道に転がっている。
赤黒く脈動し
それでいて人の形は
なくなりそうでなくならない。
一番痛い形にて
ここに留められている。
包帯は私を癒さない。
ただ私を見えなくするだけ。
どんなに醜い形相でも
見えないのなら狂えない。
痛みは日に日に激しくなり
世界はますます明瞭になる。
燃え上がるあなたへの思いを
消し去ることが出来たなら
植物のように街の何処かで
ただ傷としてあれたのに
人の形がじゃまをする。
激痛と認証
拷問に似た幸福により
私とあなたは繋がれている。
(初出 詩集『永遠へと続く午後の直中』)
傷
小川三郎
小川 三郎(おがわ さぶろう)
神奈川県生まれ。
2002年から2005年までの間、現代詩手帖投稿欄に詩を投稿。
以後、第一詩集『永遠へと続く午後の直中』、第二詩集『流砂による終身刑』を思潮社より刊行。
『ルピュール』同人、『酒乱』同人・編集委員。















