六本木詩人会 六本木詩人会 ホテルアイビス六本木

「神」に似たもの

城戸朱理



「神様」とはいったい
          何様なのか?
問いただすことも出来ないので
憑神つきがみ)をなだめるように酒を汲み
日に三度、柏手を打つ
そのたびに茶碗が割れるのは
誰かが喜んでいるからなのだろう
ときおりクスクス笑いが聞こえるが
何も尋ねてはいけない
それは人のようでもあり
           神のようでもある〝日本的霊性〟
言葉を変えるなら
河童かっぱ」や「山童やまわろ」のごとき
             怖るべき子供たちアンファン・テリーブル
自分の影を踏んで消していったり
〝哲学〟抜きのお茶を飲み
本能が「美学」となるような
             (落とし穴)を掘ったりする
波しぶきがすぐに気化してしまうほど
気圧が高まって
       水銀柱が上昇するとき
滑空するように海へ走っていく影があれば
それも「神様」に似たものかも知れず
柏手を打って見送れば
喜んで行ってしまって
当分は帰ってこない






(『世界‐海』連作のうち)



城戸 朱里(きど しゅり)

Shuri Kido
1959年、岩手県盛岡生まれ。20歳で「ユリイカ」誌新鋭詩人に選ばれる。その後、田野倉幸一・広瀬大志・高貝弘也らと同人誌「洗濯船」を刊行。
詩集に『召喚』『非鉄(ひてつ)』『不来方抄(こずかたしょう)』『夷秋(いてき)~バルバロイ』『千の名前』『地球創世説』、選詩集に『モンスーン気候帯』『現代詩文庫城戸朱理詩集』があるが、現在、単行詩集は売り切れのため、あらかたが版元在庫切れ、新詩集『源流考』『世界―海』『漂流物』を準備中であり、『地球創世説』重版の計画もある。
翻訳に『海外詩文庫 パウンド詩集』『パウンド長詩集成』『T.E.ヒューム全詩と草稿』がある。さらに『T.S.エリオット詩集』の翻訳を終え、刊行待ち。ウィリアム・ブレイク『天国と地獄の結婚』も刊行を考えたい。
詩論に『潜在性の海へ』『戦後詩を滅ぼすために』、近刊に『都市の文書』、さらに4冊目の詩論集となる『アンティ・コスモス』の原稿も、ほぼ完成しつつある。
エッセイに『吉岡実の肖像』、野村喜和夫との共著『討議戦後詩』『討議詩の現在』も、さらに『討議近代詩』として展開中である。
刊行予定は多数あるが、ほかにも文庫・新書の書き下ろしを抱えているので、連載原稿の合間を縫っての時間配分に苦闘中。
CS放送のアート・ドキュメンタリー番組「Edge」の企画・監修、女子美術大学大学院・早稲田大学理工学術院講師もつとめる。

1つ星2つ星3つ星4つ星5つ星 (5 票4.80)
Loading ... Loading ...

2 コメント “「神」に似たもの”

  1. かよう より:

    読みました。連作との事。これだけでは若干分かりにくいとも思いました。

  2. かよう より:

    また読みました。今回は怖るべき子供たちに着目しました。コクトーを思い出したからです。三度読むと思います。その時もよろしく。

ぜひコメントを残してください


  • 他のおすすめ


  •  
    六本木詩人会