亡霊草がゆれる夜は
まだかりそめの一輪に
あたえし声もしゃんらんと
蓮食いびとが息吹きます
仮定された生ですら
いまはいまだけほとびゆく
片目にうつる未来すら
ここから先は破線史になる
廃鐘鳴りますぼおごおと
白煙あがる減築ビル上
円空伽藍に猫色月が
かすかにかたぶき点メツします
ましろにさける音声の花―――
ものまね鳥にまびかれた
白日の記憶 さんらんし
まいごのまいごのわたしちゃん
アナタノオウチハボウメイチュウデス
定常平和をめざします
減数記憶をめざします
ひとはひとえにひとになりたい
低温幸福かざしつつ
凍れる記憶はぬばたまのブラックホールに投げ込まれゆく――
いとしき日々はそれぞれの
惨劇を背に 微笑みながら
レキシノテンシガハバタクバショデ
ガレキノハヘンヲナガメオリ
いまはいまだけ、ほろびゆく――――――――――――――――
記憶の息継ぎほうむりながら
破線記憶のかがやくばしょで
汚染浄土を追想します
いまはいまだけほころびて――
仮定された記憶のさなか
無はゼロでなく
ゼロは無でなく
仮定された生存の上
線は線でなく
点は点でなく―――――――――
初出『ポエームTAMA』2010.3.5、72号
破線史
水無田気流
水無田 気流(みなした きりう)
1970、神奈川県生まれ。早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程単位取得満期退学。
現在、東京工業大学世界文明センター・フェロー。
2006年、第1詩集『音速平和』(2005年、思潮社)で第11回中原中也賞受賞。
2008年、第2詩集『Z境』(2008年、思潮社)で第49回晩翠賞受賞。
評論に『黒山もこもこ、抜けたら荒野 デフレ世代の憂鬱と希望』(2008年、光文社新書)。
URL:http://blue.sakura.ne.jp/~intermezzo









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読みましたが、エッセイと違って分かった様な分からなかった様な曖昧な思いに駆られました。違う時の読めば違う印象を持つかもしれません。