黄色いソーリーをもらいました
まぶしいまぶしい境界線
はじまり
をつかまえたくて電車に飛び乗った日
窓にうつるわたしの顔の上を
変わらぬ風景が小川のように流れていく
わたしは山の輪郭をじっと見ている
なんでもよいのです
はじまりをつかまえられるのであれば
濃紺と灰色の空の真下
じっと凝縮された時間があって
それは目の前に座った老婆の眉間のようで
ひかりの顔面がぴって見えるんだって
つやつやした液体のような夜
いっせいに眉間をじっと寄せる老婆たち
まるまった背中はますます丸く
丸裸の黒い木々が点在する平地のさき
の雪でぼやけた地平線の近く
ほそながい思考のような青い雲
が釘で打ちつけられたように浮かんでいて
時々灰色の建物にさえぎられながら
わたしの前の窓を追いかけ漂い続けている
なにも変わらない青い景色
がわたしをふあんにさせる
桃色に染まりだしていく空と山のあいだ
もわたしをふあんにさせる
はじまりを手にいれることは
痛いんだって
目が走り
耳の奥がうなるんだって
はじめてはいたいのです
じっと寄せるのです
そして唐突の
光沢の集結
終結の光沢
ひかりがひかりひかりになって
ひかりの上にひかりが落ち
山がわたしが流される
はじまりが近づき
近づき
飲みこんで
木々が太陽を輪切りにしていく
切れ
もっと切ってしまえ
うしなわれた風景の抵抗
いくつもの感情を孕む影影影がなにか言っているけどもうな
にも聞こえなくてひとつそっととりだし身に着けてみるとわ
たしの肌はたいそう気に入り
ソーリーソーリー
待たせてごめんなさい
ソーリーソーリー
なくさないと気がつかないのです
眉間のしわがのび角度がかわりはじまりが終わる
木々の空との契りも終わり
ふたたびうつるわたしはきっとうすわらいをしている
お帰りなさい
飛行機が飛んでいきます
黄色いソーリー
塚越祐佳
塚越 祐佳(つかごし ゆか)
1977年群馬県生まれ。獨協大学を卒業後、ニューヨーク州立大学英米文学部クリエイティブ・ライティング科で詩や小説の創作を学ぶ。同学部主催の文学賞を受賞。
詩集『雲がスクランブルエッグに見えた日(2008年・思潮社、第59回H氏賞候補)、『大空襲三一〇人詩集』(2009年・コールサック社)。
季刊バイリンガル詩誌『エキマエ』を2009年10月より発行開始。
朗読パフォーマンスや、他のアートとのコラボ展示、詩・俳句などの翻訳も行う。
URL:http://otomikiki.blogspot.com/









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