六本木詩人会 六本木詩人会 ホテルアイビス六本木

除夜を待つ

渡辺めぐみ


深い傷をもてあそばれたくなかったので
ステンドグラスを作った
そこへ光がやって来て心の形の影を描いた
アンティ何何はやめてくれないか
生きるということは
敵を定めて前進することではないのだぞ
はらわたのよじれた魚を
喪服の兵が運んでゆく
道祖神のように立っていようではないか
魚のために本当の涙を流す者がいるかどうか
見極めなくてはならない
胸を張り立ち尽くしていようではないか
別れは目に見えるものではなく
人の心にあるのだった
患う光が星を呼んでいる






(日本詩歌句協会会報・2号より)



渡辺 めぐみ(わたなべ めぐみ)
東京生まれ。
第一詩集『ベイ・アン』(二〇〇一年、土曜美術社出版販売)収録の一篇で第十一回詩と思想新人賞受賞。
第二詩集『光の果て』(二〇〇六年、思潮社)で萩原朔太郎生誕一二〇年記念・前橋文学館賞受賞。
第三詩集『内在地』(2010年、思潮社)で第21回日本詩人クラブ新人賞受賞。
今年度より世田谷文学賞選考委員。

1つ星2つ星3つ星4つ星5つ星 (5 票5.00)
Loading ... Loading ...

ぜひコメントを残してください


  • 他のおすすめ


  •  
    六本木詩人会