福岡事変
松本秀文
今年2月に福岡市某所にある少目的施設「人食い」において、市内在住で60歳以上の「汚れちまった悲しみ」を持つ男女を対象に「サルでも書ける現代詩講座」というワークショップが行われた。講師は、福岡市在住で現代詩に比較的詳しい夜青龍さん(30)が日当15000円で担当した。参加者は、「言葉で自分の思いを伝えることの大切さに改めて気付かされた」、「今までにない体験が出来て、非常に満足している」など好評であった。夜さんは、「有意義な講座であった。参加者それぞれが言葉に真剣に向かい合っている姿に胸を打たれた。現代詩の閉塞を解く鍵がここにあるのではないかと思った。また、機会があれば積極的に行っていきたい」と感想を述べた。講座は、計3回行われ、過去の名詩についての講義を1回目で行い、2、3回目では実作のワークショップを行った。ここに、その時に発表された作品の一部を公開する。尚、今回の掲載に当たって、参加者たちの同意や承認を一切行っていないため、プライベートな内容や社会通念上問題がある描写については編集者の独断と偏見により身勝手な修正及び傲慢な削除を行った。
1、「おひさま」
Tさん(78歳女性)
あたしゃすごい
あたしゃすごい
あたしゃすごい
2、「若者たち」
Aさん(67歳男性)
近頃の若者たちは
我々のことを知らない
我々が歩んできた道を知らない
それは歴史を知らないということだ
教育はもうどんどん悪くなっている
ゆとりを持ち過ぎた若者たちは一体どのようになっていくのだろう
我々老人はもう声を持たないが
せめて声なき声に若者が耳を傾けて欲しい
3、「ピアノ」
Nさん(75歳女性)
空襲で母が死にました
母を失ったまま
私はどんどん大きくなりました
子供の頃に聞いた母のピアノが
私の中で今も響いています
4、「じらりびゃ」
Gさん(90歳男性)
じゅじゅしゅろうでゅ
びゅらゆゆゆらか
しゃじきちしわかじゅ
ばか
5、「お●んこ」
Kさん(74歳男性)
おれのかいらく
6、「川の流れ」
Hさん(60歳女性)
わたしの歩んできた歳月のことを考える
わたしはつまらない人生を歩んできた
満足できずに今日もぼんやりと生きている
少女だったわたしは
筑後川で遊んだことを思い浮かべている
あの頃は将来のことなんて考えてもいなかった
今の夫と出会ったのは29の時
職場恋愛だった
ふたりとも仕事熱心で
会う時はいつも仕事の話をした
そんな夫も去年向こう側へ行ってしまった
わたしは孫たちから「おばあ」と言われながら
何だかもう半分自分も向こう側に足を踏みこんでいるように思う
少女の頃に遊んだ
筑後川の風景が
今はあの時以上にリアルに見える
7、「自由」
Jさん(65歳男性)
自由ってなんやろか
ずーっとかんがえたばってん
こたえがでらんとです
でたとおもってもなんかちがうとです
いつこたえがでるんやろか
*この作品はフィクションであり、実在する人物、団体とは一切関係ありません(ってどうよ)。















