六本木詩人会 六本木詩人会 ホテルアイビス六本木

非緑

橘上


 不意に緑に降り立つと、緑の人が緑の衣服と飛び跳ねながら、緑のうたをうたってくれた。緑の声は伸びがよく緑の鼓膜をよく揺らす。緑のうたを聞きながら緑の体を緑に揺らして、緑の踊りを踊ろうよ。緑の台には緑の水と緑の料理が。緑のコップと緑の皿に。緑並びで置かれてく。緑料理が並ぶとすぐに、緑の人の行列だ。緑が緑を緑に求めて、緑が緑を緑食い。それを含めて緑の踊り。緑の踊りは止まらない。緑の体を緑に揺らして緑の声と打ち震え、緑の味を堪能しながらいつかの緑に思いを馳せる。

 と、ここまでは僕が緑であった時のはなし

もはや緑でないとわかるとすぐに、緑は僕を追い出した。もう緑には入れない。緑でなければ緑にいれない。緑は緑以外を追い出した。

かつて緑だった僕を追い出した世界は、緑でなくなった僕を受け入れ、水と料理を与えてくれた。緑のころには考えられない。
スプーンでスープをすくいつつ、隣の人と会話をし、回りの景色を見回した。どこにも緑が見当たらない。


 世界は緑を追い出して
 全ての緑はいなくなり
 緑は緑に逃げ込んだ

 緑は緑以外を追い出して
 緑以外は緑を離れて
 世界の方へと駆け込んだ

 世界は
 世界と緑に分かれた


世界は世界を満たそうと、緑以外を生み出していく。
緑でない僕に、緑でない水と緑でない料理を与え、緑でないそれらを緑でない台に置き、緑でない隣の人は緑でない話をしている。
緑でない愛が緑でない平和を求めるが、依然として緑でない争いは続き、故に緑でない遺恨は続く。緑でない争いが緑でない遺恨を呼ぶのか。緑でない遺恨が緑でない争いを起こすのか。これは緑でない問題です。緑でない・・・・・・・・・・・

     緑以外を増殖させて
     緑以外の全てを生んでも
     一つの緑も作れずに
     世界は緑を失った


緑は緑を満たそうと、緑を次々つくりだす

緑の平等という緑の夢を叶えるために、緑の理想と緑の目標を携えて、緑の時間に緑の演説をするも、緑の金が緑に生み出す、緑の社会の緑の差別は、緑のままに緑に残る。緑の・・・・・・・・

     全ての緑が立ち並び
     全ての緑が関わりながら
     緑は一つの緑になった。


「ここに緑と緑でないものがあります
 どちらが世界ですか?」
「緑でない方です」   
  





初出「はらいそ」



橘 上(たちばな じょう)
1984年生まれ。1999年頃より詩を書き始める。
2003年よりバンド「うるせぇよ。」結成(http://uruseeyo.web.fc2.com/)。
ヴォーカル担当。
2007年第一詩集「複雑骨折」発表。
2008年より永澤康太、吉原洋一とリーディングユニット「サンズイ」結成。
第二詩集「YES(or YES)」思潮社より2011年7月刊行。
Eメール mutaormuta@yahoo.co.jp
<http://jp.f1000.mail.yahoo.co.jp/ym/Compose?To=mutaormuta@yahoo.co.jp>
HP http://tachibanajoh.web.fc2.com/

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