もうすぐ、お前のものなのだもゅ、非実存青少年。
お前が握りしめるんだもゅ、非実存青少年。
非実存青少年。
孵卵器の中の、
非実存青少年。
血管が形成され始めたもゅ、非実存青少年。
卵黄が心拍するようになったもゅ。
非実存青少年。
戦争を破壊するために、通過する庭はもゅ。
非実存少年、
いいによいだもゅ。
非実存青少年。
いいによいのするお庭なのだもゅ。
紅茶のなかにスロン、溶かしたシロップが。
シロップが揺れるようにソニック・ブームが起きている、庭で。
非実存青少年。
庭が揺れるもゅ。
戦争を破壊するために。
非実存青少年。
戦争を破壊するために。
非実存青少年。
涎に似たものが。
感情に代替されているもゅ。
遅れて現れる影。
涎に似た感情が、
影になって現れるもゅ。
非実存青少年。
電信柱が見えるもゅ。
青い空を区切っているもゅ。
鳥に似た感情。
鳥に似た飛びかたで電線に止まるもゅ。
電流に似た感情。
非実存青少年。
夜の住宅地に充ちていけ。
感情の電流が静かに床下に浸水していくもゅ。
みなそこに、影が映るもゅ。
非実存青少年。
もう一ミリも動けないのだもゅ。
乾ききって、廃屋に磔になっているもゅ。
吹きっさらしの風がやまないもゅ。
非実存青少年。
石が鳥であり、
闇の煮汁が星であるもゅ。
他の星雲から、
救助隊はやって来てくれろ。
もうつれていってくんつぇ。
非実存青少年。
もゅ。
どこでもどこでもぼくはぼくは人の悪口悪口ばかり聞きつけてそれがそれが全部全部ぼくのぼくのことをことを悪く悪く言って言って言っているように聞こえるから燃やしたい街を燃やしたい自分を燃やしたい非実存青少年。ぼくのぼくの悪口を悪口を言っているひとを燃やしたい燃やしてまわりたい燃やしてまわりながら、うふふ、電車に乗ろう、電車に乗って海を見に行こう。波の音を聞いて眠ろう。雨の日の海を見ながら、遠く、遠くの、(ね、非実存青少年)海の底の国、魂の国に手紙を書こうよ。
もゅ。
非実存青少年、
夜の人魚を埋めにいくもゅ。
夜、夜の人魚を埋めにいくもゅ。
非実存青少年。
夜の、夜の人魚を埋めにいくもゅ。
夜。人魚を埋めにいくもゅ。
冷めた骸をして温めしむるものはたなごころのぬくみなり。
非実存青少年。
夜の人魚を夜の埋めにいくもゅ。
夜の人魚を夜の埋めに夜いくもゅ。
非実存青少年。
夜にいく。人魚。埋めにもゅ。
夜を人魚に埋めにいくもゅ。
非実存青少年、
はみ出ていくものがあるので、
かたまりを穴に埋めに行くのだろう。
なんども、なんどももゅ。
非実存青少年、
揺れている首があるから、
霊の存在を信じ込んでしまうもゅ。
存在の実在を疑ってしまうもゅ。
大切なことを告げようとしているのかもしれない、
非実存青少年。
はみ出しているものを、
埋めに行くもゅ。
非実存青少年。
公務員のお仕事は、そういった、作業。
ぞそぞそもゅ。
せせ、せせもゅ。
非実存青少年。
はなちかるせじたもゅ
なはつかりもゅ!
非実存青少年!
どうした!
ひじつぞんせいしょうねん!
らいよくなたまはもゅ。
かぬかねかさかさもゅ。
といまなさもゅ!
お祝いのために、
飲み物を買いに出かけたのだもゅ。
お店は、山のむこうにあったのだもゅ。
ひじつぞんせいしょうねんは、
「行ってきます」
と言ったのだもゅ。
ひじつぞんせいしょうねんは、
「行っておいで」
と言われたのだもゅ。
夕暮れだったのだもゅ。
草をむしって、ちぎって、投げたのだもゅ。
戦争に負けた国の、
性的にダメな国の、
性的にダメな首都が、
性的にダメな学校を運営し、
性的にダメな子供たちが、
性的にダメな教師たちから、
性的にダメな説教をうけるから、
東京都に禁じられた体位で責任をなすりつけあうもゅ。
親どもの性行為の責任を。
自慰と自傷行為と摂食障害を結ぶ三角関数を板書しながら、
生徒の脳髄に知識を沈殿させたときに溢れ出るバルトリン氏腺液が同体積であるか否かを実証する手段をじっと考えているもゅ。
学力や知識は幸福になるための条件ではあるが目的ではないはずで。
それは性欲の満足がそうであるのと同様であるが、
日本の性教育は生殖教育であって、
非実存青少年、
常にここにも政治的な権力が潜んでいるというべきであるもゅ。
個人の性欲のありかたと社会のありかたは直結されてはいないが関わりあっているもゅ。
(あたりまえだもゅ。
社会の構成単位を生成するのは性欲によって結びつく二人の人間なのだから。
非実存青少年!
無数の性欲の構造体が社会であり、人間はその隙間を泳いでいるのにすぎないのだもゅ)
黒板を白墨で汚すのをやめなさいもゅ。
すべてが解決する日が来るという誤った前提から誤った結論が導き出され、
この歪んだ終末論は資本主義を媒介にして世界中を覆い尽くそうとしているのだが、
特攻隊精神の生みの親でもあるもゅ。
だから子供が自殺するのだ。
だから子供が自殺するのだ!
正しき性の愉楽を我らの社会に与えよ。
無意識下の痙攣を止めるすべを。
非実存青少年よ。
死霊たちよ。
さまよい続ける死霊たちよ。
死に学ばぬものたちよ。
生まれなかったがゆえに、
生に学ばなかったものたちよ。
我と共に歩め。
我のもとに来至りて、我と共に歩むべし。
非実存青少年よ。
生者を妬むなかれ。
恨むなかれ。
生者もまた生に迷いさまよえるものなれば、
互いに互いを打つは、闇の中の闇なり。
死霊よ、
非実存青少年よ、
我らと和解せよ。
もゅ。
非実存青少年・紅もゅ。二十七
及川俊哉
及川 俊哉(おいかわ しゅんや)
1975年岩手県生まれ。現在は福島県在住。
2005年、12月23日、は東京駅「銀の鈴」前で突如として「ウルトラ」2代目編集長に任命され、現在に至る。
2009年 詩集『ハワイアン弁財天』(思潮社)発表。









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