「貝のおうち」
貝のおうちにふる雨のおとがしずかで
ずっとしずかにいると
ぼくの泣くこえがきこえてくる
ぼくは
泣いてなんかいないさ
だけど
しずかだ
なんて
しずかで
こんな貝のおうち
入口から そとのつめたい空気が入ってくる すこしだけ
ぼくは 泣いたのかもしれない
でも
今は 泣いてなんかいないさ
あれは何年前? 何十年前?
こんなおうちに住んでいないころに
なんどかころんだり どっかしらないじめったあなに
おっこちたときだけだよ でも
今 こんなしずかな こんな しずかな貝のおうちで……
ああ 家のおくからきこえてくるんだね
ステキだね
ぼくはだけどこのままひざかかえ
ここでねむっているとしよう だって
貝のおうちにふる雨が今夜はこんなにしずかで
こんなに とても しずかで……ぼくはこうしてここにいたいだけだから
*おれたちのマザーグースII連作18
*
「こんな雨の日」
そらしど そらしど
また 雨がふる
こっそりあけた 窓べから
ひんやりまいこんでくるかぜに
ほおをずっとあてていると
しんだみたい
しんだみたいなわたしのほおのつめたさ
きれいさ
夜なのに
どうしてこんなにあかるいのさ
星なんてもういつの昔からみえやしないのにね
こっそりあけた窓べからみる雨
そらしど そらしど
しんだみたい しんだみたい
うれしくて……
ほおをすっとなでていくかぜは
わたしのうしろをとおって
どこか くらいくらいばしょまでいってしまう
そらしど そらしし し……しんだみたい
なにか……
また雨ふり
いつものくらがりからみている
夜なのに ときどきあかるい
どこからくるのかだれもしらないひかりにのって
わたしはまたねむっているから
こっそりあけた窓べから
まいこんでくるかぜのつめたさと 雨のにおいに
そらしど そらしど
*おれたちのマザーグースII連作20









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