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くれない坂

塚越祐佳

みからさび 
(むささびのように)
狸穴のわき道には
空につづく紅の階段があるという
女はなんどもおなじはなしをする
だからわたしはなんどもおなじあいづちを打つ
うずまいた空が皿の上をまわり

みからわび さびさらば
さかいにはいつもみちがあって坂があって
ひは暮れない
かべは打たれ
枯れ木は破壊される
はかいしは
たぶんびぃだまになっておちてくる
階段をのぼりきるまえにおさえる手がわらいながらあふれてしまう

器のなかには月(のような光)
ひさしぶりに
じゃんぴんじゃんぴん
貝殻のようにとじたまぶたをあけるのにさいてきなは
はがみつからない
たのんだばかりで響くでんわのみほせないこ


通りすぎていた
見慣れた顔
がめんのゆうべ
だんしんだん しん
でんわなる
こひのみほせない

わたしは言っていて
斜めまえの男がとどこおる目でまどをみる
わたしは変人になる
青くなっていないのに
また通りすぎていた
そういえば最初にねずみの話をしたっけ
なんて思いだしわらう

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塚越 祐佳(つかごし ゆか)

1977年群馬県生まれ。獨協大学を卒業後、ニューヨーク州立大学英米文学部クリエイティブ・ライティング科で詩や小説の創作を学ぶ。同学部主催の文学賞を受賞。
詩集『雲がスクランブルエッグに見えた日(2008年・思潮社、第59回H氏賞候補)、『大空襲三一〇人詩集』(2009年・コールサック社)。
季刊バイリンガル詩誌『エキマエ』を2009年10月より発行開始。
朗読パフォーマンスや、他のアートとのコラボ展示、詩・俳句などの翻訳も行う。
URL:http://otomikiki.blogspot.com/


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1 コメント “くれない坂”

  1. カサハラ より:

    久しぶりに塚越さんの詩を読みましたが、これまでの作品では感じたことのなかった「色」を鮮明に想起された作品でした。
    錆色か紅色か・・・その中間色というか・・・濁った紅色がベタ塗りじゃなくて、水面に垂らしたインクが表情を変えていくように・・・
    そして、言葉が少し優しくなったような気も・・・

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