奪われたのは突然でした
肩が懲りました
電球は切れていました
だから
おいてきぼりにされました
(たぶん)
友だちが新たな友だちと仲良くなりました
(よかったです)
それでたぶん
またおいてきぼりにされました
(友だちは腕を組んで歩く)
あとちょっとというところ
ふわり
わたしの片言は落下して
ふわり
指先はほつれて
さよならも言えず
歩道橋になどのぼるわけでした
今日の午後四時は生産的
生産的な非生産をおこないました
非生産はうみだされたので
もう戻れませんが
(たとえば海の比喩なんかを使うのはもってのほかです)
嘘がたまりすぎたので
どうすればいいかと
世界のゴミ箱を探しました
(とはいえ、そこにもラベルはついてます)
データというのがいっぱいになって
自閉的なあの子のそばで
肩はふれ
体温はうつるので
(熱交換)
わたしたちはお友だち
大切なお友だち
になったわけでしたので
(わたしはあの子のピアスホールを見るのが好きでした、とても。)
それで裏切り物語もまたとてもきれいです
すれ違いの映画館のなかで
わたしは
あの子のゆうれいとおしゃべり中でした
けれどもあの子はついにはあらわれず
もごもご
言いかけたまま
海に飛び込んだので
(殺人事件の見すぎです)
あの子はいまごろ、わたしへの手紙でもしたためているのでしょうか
(頼むから海には投函しないでよね!)
お友だちのお友だちの話をきいて
偶然その子は、同じ名まえで(あの子と)
それでお友だちのわたしたちは
腕の組み方について
語り合って、抱き合って、泣きました
(わたしはあの子が好きでした、とても。)
おいてきぼりにされた日曜日の午後は
やっぱり悲しいので
ひとりでくんくんと
世界の匂いをかいでいました
わたし、壊れた人形で、スクリーンにおいてかれて
お友だちにおいてかれて、
わたし、どうも、
鼻炎、でした。
(くしゅん!)
インフルエンザがやってくる
小野絵里華
小野 絵里華(おの えりか)
1984年東京都生まれ
2010年ユリイカの新人(伊藤比呂美・選)
主要論文
「〈日本身体〉の変容―萩原朔太郎を中心に」(「詩人会議」2007年7月号)
「安岡章太郎の短編小説「ガラスの靴」考―透明な物語に埋め込まれた権威・屈辱・〈公〉のモチーフについて」(「言語情報科学」紀要、2010年)
共著
『1Q84スタディーズBOOK2』(小森陽一編・若草書房・2010年)
―「〈王権〉はくりかえされる―『1Q84』における〈性〉と〈血〉をめぐって」
小野絵里華ブログ「詩人は死んだ魚の目をもって」http://erikaono.exblog.jp/









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