つむぎたいのは、その不規則な体温。
手肌をつらぬく つむじ風。
プロセスは机の隅に押しやって
唇に海を満たす、吐く。
たおやかに 狂いだす血潮。
この学校ができる前はね
ここで狐を育ててたんだって。
そう告げて、
振り向いたあの子の唇は、とても青い
狐火だったね 覚えてる。
(狐女子高生、養狐場で九尾を振り回す。
(狐女子高生、スカートを折る。
(短きゃなお良い至上主義。
(十八歳は成人である由、聞きつけて
(選挙に行った受験生。
(単語帳の陰から盗み見た立候補者、
(あいつ尻尾がないぜ。
(ごまかすな、襟巻き税。
はじめから
あらゆる脈絡と絶交していたけれど
ついに、教室の窓を叩き割り、
夕陽の破片を
左胸に食い込ませる/深々と!
鼓動が血に濡れているなんて
いつ どこで 誰が決めたの。
わだかまる窓という窓を吹き飛ばしたら、
カーテンだけが
私の翻る顔になった。
壁に抱きついたまま、
風を装い、〝私〟は踊る。
ネクタイ結んであげる、の一声で
化かされる新卒教師はものたりない。
おかげで停学処分を免れて、
青い口紅 倒れたほうへ
いらんかね いらんかね
油揚げを売り歩く放課後。
初出「月暈」第3号
狐女子高生
文月悠光
文月 悠光(ふづき ゆみ)
1991年 札幌市生まれ。
2007年 第3回詩学最優秀新人賞。
2008年 第46回現代詩手帖賞。
2010年 第一詩集『適切な世界の適切ならざる私』(2009年 思潮社)で第15回中原中也賞受賞。
URL:http://www.geocities.jp/hudukiyumi/









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