そう感じた道路の午後
わたしはだれかに会いたがっている
角切りになった木片は小さなスペエスに山積みとなり上ばかりみていて
わたしは木片に向かい合ってコオラを飲んでいる
燃やしてくださいと木片はわたしに頼むだろう
「うちがわをみたいのです」
「木片はさみしいです」
「一瞬の灰に会いたい」
木片が灰に会いたがるようにわたしもそのだれかに会いたがっているのか
木片ほどの気持ちでわたしもそのだれかに会いたがっているのか
「だれかとはだれですか」
ライターのカチリに温度はぐっと下がり
指先から炭酸のようにあたまに伝わる振動
あたまからの返答の予感に木片はよだれをたらしている
つちとの決別
「夜が怖いのです」
「くうきが」
小さな炎
増殖する気配
とじられた窓
掃除機の音
ライターを木片の上に置いて
わたしは去る
コオラを飲み干してしまったので
このいくじなしと木片はわたしをにらみつけながら言うだろう
上など見ていない目のない目でくちびるのないくちびるで
空気がすいてきとなって地面にたたきつけられるまで
木片のように
じりじりと
待つ
初出 「エキマエ」Vol.1
木片は灰に会いたがっている
塚越祐佳
塚越 祐佳(つかごし ゆか)
1977年群馬県生まれ。獨協大学を卒業後、ニューヨーク州立大学英米文学部クリエイティブ・ライティング科で詩や小説の創作を学ぶ。同学部主催の文学賞を受賞。
詩集『雲がスクランブルエッグに見えた日(2008年・思潮社、第59回H氏賞候補)、『大空襲三一〇人詩集』(2009年・コールサック社)。
季刊バイリンガル詩誌『エキマエ』を2009年10月より発行開始。
朗読パフォーマンスや、他のアートとのコラボ展示、詩・俳句などの翻訳も行う。
URL:http://otomikiki.blogspot.com/















