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橘上

あなたが新しく通り過ぎるなら 濡れたままでもよかったけれど 時計を合わせるのに 何年も費やしてしまったから それでもあのこははしらなかったから バスは予定通り来てしまう 何もさわらないで
バスは来さえすればいいいのです  さるひつようなどなないのです 来てください 来るだけのバスでいてください 来るたびに塗りかけの 新しく生まれ変わる からっぽのバスは たったひとりのひともひけない だれのこえもつくれない この雨がバスをとかしても バスは走る 雨になって走る 鳥と何度も摩擦して 先がじょうずにまるまった しゅうしょくされないあの塔へ いつかのあした、ふりそそぐ バスはあなた以外でいっぱいです バスは降る 雨になって降りながら 塔の上に突き刺さる 刺さりながらも車輪をまわして 空と摩擦し傷をつけ 傷口から 雨が降る 雨が降る この雨は映画にならずに 地面にたまってバスになる バスは走る 雨になって走る 雨になって降りそそぐ 笑顔のない銀色の塔のうえに バスは何台も突き刺さる 塔はバスの重みでおれる おれた塔の傷口から 雨が降りだし戦車がぬれる この雨はバスにはならずに つづいた空の裏側で あなたと摩擦もできないで 音もなしに走っている




 初出 フリーペーパー「はらいそ」

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橘 上(たちばな じょう)
1984年生まれ。1999年頃より詩を書き始める。
2003年よりバンド「うるせぇよ。」結成(http://uruseeyo.web.fc2.com/)。
ヴォーカル担当。
2007年第一詩集「複雑骨折」発表。
2008年より永澤康太、吉原洋一とリーディングユニット「サンズイ」結成。
現在第二詩集「YES(or YES)」制作中。
Eメールmutaormuta@yahoo.co.jp

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