温かな冬の朝、という花が咲いている。
そっと、てのひらに包めそうな
実際にそうしたら凍傷しそうな
その花の一隅で、毛布にくるまっている。
白い息が花の影のように
揺らめいては消える。
どこからか、そしてどこでも
花の匂いは溢れ来る。
いつからか、そしていつでも
あまやかな鐘が鳴っている。
朝の光が森のパイプオルガンを奏でる。
夜の響きをまだ底に湛えながら。
別のどこかで
雪の花粉が舞い
孤独な枝を凍らせる。
また別のどこかで
魚たちの花びらが渦巻き
珊瑚礁の花粉が月へと昇る。
いつか海に包まれたなら
海を手のひらに包もう。
海はたゆたう花の一部
森も砂漠も移ろう花の一部
魚や虫や獣はきらめく花の一部
咲く花は変幻する花の一部。
冬眠から覚めた熊が花を食べる。
夢の続きを貪るように。
朝の花はここでも色を変え始めた。
勇気を出して毛布を出たら
たとえひとときでも
花の一部になれればそれでいい。
花の一部に
竹浪明
竹浪 明 (たけなみ あきら)
http://takenamiakira.jp
映像作家・文筆家・東京造形大学映画専攻非常勤講師。
「蘭賞」(俳句)、「平間至写真賞優秀賞」「文芸社ビジュアルアート社長賞」他受賞。
俳句×写真集『恐竜×ヴィーナス=17文字』(文芸社)、 写真集『象と大樹と子供たち』(角川学芸出版・収録写真によるTシャツが「赤十字グッズ」に)他。
監督映画『のら暦*ねこ休みネコ遊ビ*』(UPLINK)他。









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