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杉本徹


曇り空のクレマチスに
歌のうしろすがたを問う、と
あらゆる雑踏のどこかで人影がほそい
冬の、砂にまみれた膝も携帯も
心放つための野を
日々褪せてゆく野の色を
思いながら、道々の窓あかりに
……待ち望んでいた(ひたすら)
鳥の生涯に「なぜ」の音符がいくつ
灯されたとしても
聞こえない
ただ指の隙から不意打ちの軌跡が
陽の掟となってゆるくひとすじ
つたい落ちると
それが十二月の鐘の色——
バスのタラップを降りる音にも
振りかえってしまう
そう言って並木の葉が招いた
(……地球の夜を、許しなさい)
交錯する靴音は彗星をあこがれて
こうして、こんなに
空を人の胸のように抉り、消え去った






初出・朝日新聞2009年12月12日夕刊

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杉本 徹(すぎもととおる)
1962年、名古屋市生まれ。慶応義塾大学文学部仏文科卒。
2003年、第1詩集『十字公園』(ふらんす堂)。
2009年、第2詩集『ステーション・エデン』(思潮社)で歴程新鋭賞。

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