ちなみにその日、教室のデスクトップ・モニタは、一面、「P」という
画像に占拠された。
ちなみに、耳下ホーンではずっと、次の言葉が繰り返されていた。
パンダ令がはつれいされました
これから教室はぶるぶるまわり
つくえ・も・いす・も かくはんされます
パンダ令がはつれいされました
パンダ令がはつれいされました
はきらないでください
わたしはこれからかくさんします
パンダ令がはつれいされました
にげられません のでごめんなさい
パンダ令がはつれいされました
校内のあんぜんはほしょうします
みなさんきけんはありません
ぱそこん・ぷりんた・もにた から
言葉がもれないようにしましょう
パンダ令がはつれいされました
言葉がしみださないように
しっかりしゃだんをいたしましょう
パンダ令がはつれいされました
校内のぼうぎょしゃったーは
すでにすべてとじられています
パンダ令がはつれいされました
校内のあんぜんはほしょうします
ただし 校内というだけで
みなさまのほしょうではありません
パンダ令がはつれいされました
これから
すべて言葉をしゃだんします
わたしはこれよりわたしをやめて
パンダ令になります-だから
みなさんひなんをしゅうりょうしましょう
脳内チップがごさどうせぬよう
みなさん言葉をとーけつしましょう
パンダ令がはつれいされました―――――――――
ほんじつづけで じんるいから
言葉がはがされせんかいします・ぞうしょくします
くだらないなあ、と思って
たぶん、ひまで
ぼくは、とくにこんなものにまどわされないし、だいたいぱんだれい
ってなんだよむかしきしょうどうぶつといわれたせいじてきいみふよ
のこいますこっとかなあでもあれぽーととじないしなんだよこのしろ
くろのどうぶつはみんなどうしたんだろみんなしろくろになってなん
だろうみんながどんどんふえているようなきがするけどぼくはぼくは
ぼくたちは――――――――――――――――――――――――――
初出『現代詩手帖』2009年4月号、連載詩「FULL L(ふるえる)」より、加筆修正
パンダ令
水無田気流
水無田 気流(みなした きりう)
1970、神奈川県生まれ。早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程単位取得満期退学。
現在、東京工業大学世界文明センター・フェロー。
2006年、第1詩集『音速平和』(2005年、思潮社)で第11回中原中也賞受賞。
2008年、第2詩集『Z境』(2008年、思潮社)で第49回晩翠賞受賞。
評論に『黒山もこもこ、抜けたら荒野 デフレ世代の憂鬱と希望』(2008年、光文社新書)。
URL:http://blue.sakura.ne.jp/~intermezzo









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