六本木詩人会 六本木詩人会 ホテルアイビス六本木

詩人

ジェーン・ハーシュフィールド


彼女はいま詩を書いています 部屋は
この部屋と似ていなくもありません
わたしがものを書いたり、あなたが読んだりする部屋と。
テーブルのうえは紙でいっぱい。
ランプの光は笠があれば
やわらぐでしょうし、電球そのものが放つ
強い光も弱まることでしょう
でも笠はありません 彼女がとりはずしたのです。
彼女の詩? それはわたしにとっていちばん必要な詩ですが
わたしにはけしてわからないでしょう。
彼女が書きこんでいるアルファベットさえ
わたしには判読できません。彼女の椅子は――
革張りなのか布張りなのか、ビニール地なのか網細工なのか
想像してあげましょう。彼女に
椅子と、笠のないランプと
テーブルをあげましょう。愛する者たちがひとりかふたり 
隣室にいることにしましょう。ドアは閉じたまま
ねむる者たちはすこやかだとよいでしょう。
時間 静けさ そしてしくじっても
やり直しができるように紙をたっぷりあげましょう。




(ジェーン・ハーシュフィールドの詩「詩人」(The Poet)を拙訳で紹介させていただいた。この作品は、1997年に出版された彼女の第四詩集『こころのうちに生きるものたち』(The Lives of the Heart)に収められている――山内記)


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山内 功一郎(やまうち こういちろう)

アメリカ詩研究

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