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偽振動ふるるるる

水無田気流

 移動する文字
 わたしの思念
 文字採掘装置サルベージ・デバイスを作動させる――――

低下する体温にカラマリ
きみの影が明度を高め
ふるるる、と ゆれている

 読メル/読メナイ
 言葉が―――――
 天蓋ニセゾラ
 に ハリつく
 
夜に振動する気配は
ときどき
きみの真似をして
ふるるるる、と 鳴いている
 
 キレイナニセモノ
 イヤコレハホンモノ
 ホンモノノニセモノ
 カカレタモノトイウホンモノノニセモノ
 ムカシハ
 コンナフウニ
 ニセノホンモノガアッタンダネ

膨張していく 偽夜のまんなかで
君の偽影法師だけが
ふるるるるるる、と歌っている

 注視シテ
 同期シテ
 見エル?
 見エナイ
 ネエ
 今日
 偽太陽ガふれあヲ起コシタンダ
 知ッテル?

 知ラナイ―――――――――

そんな会話も
低い偽月のしたで
細い偽雲のあいだ
わたしときみのうえ
偽平線のかなた
ふ、るる、るるるるる、と

 ふるるるる、と





初出『現代詩手帖』2009年5月号、連載詩「FULL L(ふるえる)」より



水無田 気流(みなした きりう)
1970、神奈川県生まれ。早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程単位取得満期退学。
現在、東京工業大学世界文明センター・フェロー。
2006年、第1詩集『音速平和』(2005年、思潮社)で第11回中原中也賞受賞。
2008年、第2詩集『Z境』(2008年、思潮社)で第49回晩翠賞受賞。
評論に『黒山もこもこ、抜けたら荒野 デフレ世代の憂鬱と希望』(2008年、光文社新書)。
URL:http://blue.sakura.ne.jp/~intermezzo

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