六本木詩人会 六本木詩人会 ホテルアイビス六本木

静かな家の記録(画家・髙島野十郎の『蝋燭』へのオマージュ)

松本秀文



闇の先端で「生」を輝かせる虫たちのざわめき
冬が来ている(どこにも行けない冬が来ている

「やだもん、しぬなんて」

光の内側で理由もないまま泣いている子供たちと
闇の外側で跳び箱をとべずに泣いている子供たちと
宇宙の天秤に光と闇が釣り合う瞬間に
お前は全身を眼球にして
ゆっくりと世界で砕け散るのだ


わたくしたちを
再びあの場所へ
静かに呼び戻す


そのグラデーションのその先へ
ブリキの子供たち
笑って砕ける


記憶喪失の魚が
蝋燭と炎の間を
静かに泳ぐ(屍

暗闇の行方を追う探偵になったつもりで
蛙の女を抱く
蝋が滴り女は悲鳴を上げる
死神と屍のパレードだ


死んだ獣の瞳は
涙も流せぬまま
音もなく燃えて

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松本 秀文(まつもと ひでふみ)
1979年 12月20日生まれ。いて座。A型。福岡在住。
既刊詩集に『鶴町』、『白紙の街の歌』(ともに思潮社)などがある。
詩の朗読でも地味に活躍中。詩誌「ウルトラ」同人。
ブログ「sokudotaroの日記」時々更新中。http://d.hatena.ne.jp/sokudotaro/

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