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移住者

最果タヒ


だれも来ない街だから、だれもでていっちゃだめなんだよ、

この世でもっとも好きなのは、きみのいない世界、すべてからきみだけが抜けて、なくなった世界で、よかったね、きみは銀河系から出られた、ということにして、きみだけをのけ者にした世界、あるんだよ、知らないの、そこに生まれなくて良かったね

かわいいなあって言っていたんだけど部屋にかわいいものなんてひとつもなかった 森に住もうよ、カラスなんて呼ばないから、伝書鳩だってあやつるから、バラを育てるのがじょうずなお嬢さんを、隣人にしよう もう ビルを振ったってなにも出てきやしないよ
しりとりがくだらなくて
くだらなくて
遊ぶことがなくなって
眠っていた時間を計上して
死んでいるのとかわらない! と、叫んだ
あいつ
ばかじゃないのか

世の中はそれを狂気と呼びます、けれど私は青春と名付けてやりたいのです、「ボランティアじゃないよ」、西の世界はすべてもえているとき、焦げてはがれた青空の奥から現れたまっくろ、星と月は私が食べました、救いようのない黒に、きみたちは眠ることを選択して、ほら、それが間違いだった

恥ずべき姿で幸せだから手を叩いている姿を鏡にうつして、
だれかが、今日もなんにもなかったと言う
地表が全部つながっているってうそだ
戦争なんて目に見えないし
投身自殺も知らぬ間に起きる
知らぬ間

赤い糸で人がつながっているんだと信じていた頃、
絡まるのがいやで空に浮いていたかった




初出「ポエームTAMA」

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最果 タヒ(さいはて たひ)

詩集「グッドモーニング」(思潮社)
別冊少年マガジン(講談社)にて詩を連載中
http://zenchinou.com/

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1 コメント “移住者”

  1. ふるる より:

    こんにちは、お久しぶりです(^^)

    初期のタヒさんの作品のエッセンスがぎゅっと一つになったような感じですが、違うのは、この作品は独りきりではなく、「ボランティアじゃないよ」と誰かが、誰かが介在しているところです。
    最後の二行がとてもいいなと思いました。「絡まるのがいやで」って優しさと潔癖が同居しているみたい。空に浮かぶのも、絵的に好きです。

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