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かんとうのひと

今橋愛

 何年か前に川のそばで話したのとあまりかわらない
 でもおおさかのうどん屋で
 おばちゃんに
 「兄ちゃんかんとうのひとか?」って
 言われたって。
 
 はやいね抜けるの
 
 てれびでやさしそうなかんとうのひと
 切符をくれた高円寺から280円
 かんとうのひと
 かんとうのことばをはなす
 かんとうのひと
 「かわってへんな」とすこし笑った
 
 赤信号を待てない感情でみつめたあのころ
 かんとうのひとはまだかんさいのひと。
 あの頃よりもっとかんとうのひとは
 明日みちばたで死んでいそうなきにさせた
 比喩ではなく、あなたはあっさり死んでしまう。
 あるいは。
 おそろしくみりょくてきな中年になる
 わかる わたしにはわかる



(初出 2004年「いん・あうと」)



今橋 愛(いまはし あい)
1976年大阪市生まれ。歌人。
2002年、「O脚の膝」100首で北溟短歌賞受賞。
著書に歌集「O脚の膝」。同人誌〔sai〕、snell、未来短歌会に所属。
ホームページhttp://www.aaaperson.jp/

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