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大問一 次の詩を読んで次の問いに答えなさい。

和合亮一

大問一 次の詩を読んで次の問いに答えなさい。

 その水平線は私たちから全ての絶望を奪うだろう 
 成る程 おまえはこう尋ねたいのですね
 水平線は何処だと ならば過激な瞬間をたたえながら そこで華麗に死にたまえ 
 現在は見事に切断されているのだ おまえは水平線を見たことがないのです 
 いや 私たちの誰も そうしたことがない なぜなら 存在しないのだ 
 そのようなものなど ならばこそ 狂おしい一直線を思い浮かべながら 
 手のひらに 人 人 人と書いてみたまえ

 それよりもはるかに水平なる意味は 手の中でねじれない現在となり 過ぎているじゃないか
 ヒョウ柄の帆を張った 二艘の無人のヨットが 見え隠れするだけだ
 現在を裏返せば 美しい街は山に変わる 私は怒りをこめて線を愛する
 唾液の雨が降りしきる波打ち際 角のない一角獣の決闘が繰り返されたから
 私たちは手のひらに 人 人 人とたとえば 書き続ける 

 水たまりにも人人 あるいは新宿にも人 あるいは指宿の電車の運転室にも人  
 大阪の福島の虹の中でも 水平線は弧を描かなかった 環状線は回りすぎだった
 あらゆる日常を思惟の一条となって進む 楽しい衝撃の結末に横たわる 
 水平線を眺めて 軽々とした平行線を抱えて私たちは議論を重ねた 肺臓を行き来する
 静かな点線や波線や二重線をどうすればいいのか おまえとささやきあい
 薔薇の花びらが一片 床に落ちた瞬間に 世界から世界を奪うことを許されたから
 おまえの眼差しに 一線の空と海の間 そして手のひらに書く 人 人 人よ
 あれがこちらを振り向いた安達太良山 あの光るのが 生命線


問一 傍線部①の水平線は何をたとえていますか。思うところを述べなくて良い。


問二 傍線部②「私たちから全ての絶望を奪う」について、どうして絶望は奪われるのでしょうか。

 ア 生と死の境目において絶望もまた死ぬから、あるいは詩人が、筆の勢いで書いただけだから。
 イ 生と死の境目において絶望もまた死なないから、または詩人が筆の勢いで書いただけだから。
 ウ 生と生の境目において絶望もまた死なないから、または詩人が筆の勢いで書いただけだから。
 エ 死と死の境目において絶望もまた死ぬから、あるいは詩人が、筆の勢いで書いただけだから。
 

問三 傍線部③「現在は見事に切断されている」とあるが、五十字以内で六十字を書きなさい。


問四 「人 人 人」と手のひらに書きなさい。それを睨みなさい、罵倒しなさい、愛しなさい。  


問五 どうして本文に傍線部が無いのか、はっきり説明しなさい。


問六 傍線部④「それ」とは、何を指していますか。あてはまるものを選びなさい。

   Ⅰ牡蠣グラタン Ⅱ鯨の舌 Ⅲパイタンスープ Ⅳ娼婦風パスタ Ⅴトムヤンクン 


問七 傍線部⑤「ねじれない現在」で思い浮かぶ事柄を、自分の体験をふまえて簡潔に五億字程度で述べなさい(句読点は一字と数える)。


問八 生きて今ここに在ることを感謝しなさい。


問九 次の詩句(1から1)を本文のどこに入れると良いですか。その直前の五文字を書きなさい(完全
正答)。

   1「私の心を切り分ける
    鋭い水平線よ」

   2「逃げるな
    逃げれば
    追いかけてくる生命線よ」

   3「麒麟の上の生涯にも
    傍線が追いかけてくる
    折れ曲がるスプーンを
    どのようにすればいいのか
    あらゆる海が怒濤している」

   4「水平線 これら青く燃ゆる禁止線」

   5「未来の写真屋の暗室で燃やされる
    何億枚の写真に映じられている
    たった一本の水平線をなんとかせよ」

   6「記憶の中の水平線はささくれだっている」

   7「私の曾祖父が水平線に稲妻を走らせている」

   8「私の孫は超能力者だが子午線を曲げている」


問 次の文を読むのを、止めなさい。

 詩は「見えないものを見る」行為です。そして想像の楽しさを、夢を手渡すものでもあります。日常を題材にしながら、そこから「見えないもの」が見えてきた時に、想像は始まります。見えるものを通して、「見えないもの」をイメージする時に、色々な〈   〉を私たちは持つことになります。〈   〉を増やそうとするか、しないかはその人にゆだねられますが、詩を書くときにはたくさんあるほうが楽しいです。
 たくさんの詩作品を読み、ずっと豊かな世界に触れていると、かならず自分も詩を書いてみたくなります。もし書こうと思ったのなら、まずは今という現実を見つめるまなざしが必要です。日ごろから詩を書く気持ちを持って、友達や青空や日々の暮らしを眺めてみて下さい。必ず、その先が始まります。
 説明をしてしまわないことも、詩にとっては大切なことです。想像は自由だからこそ楽しいものです。詩を書く時にまず、読んでくれる誰かにその楽しさをプレゼントしようと思ってみたらどうでしょうか。そうすると自然に新しい〈   〉が、増えていきます。
 詩とは何か。詩を読む人はいつも詩を書く誰かに、「詩とは何か」を考え続ける心を求めています。そのような大きなものと向き合う姿勢は、心を決めて茨城県の大洗の砂浜を果てしなくスキップすることと、とても良く似ています。


      問1 次の語句の意味を、そらぞらしく答えなさい。 
        ①「行為」 ②「青空」 ③「次の語句の意味」 

      問3 想像の自由を、ほら、不自由にしなさい、ホラホラ。

      問4 問2はどこに在りますか。

      問5 空欄に「水平線」という言葉をあてはめなさい。貴様は間違っている。






初出「現代詩手帖」

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和合 亮一(わごう りょういち)
1968年生まれ。
第1詩集「AFTER」で第4回中原中也賞(1999年)、第4詩集「地球頭脳詩篇」で第47回晩翠賞を受賞(2006年)。
読売新聞・日経新聞(夕刊)・ディズニーファミリーサイト等に連載中。

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