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青と黄金の網のなかで

ジェーン・ハーシュフィールド



岸につながれた小舟が ほんの一瞬
まるで雲のひとひらのように海面から浮かびあがるとき――
このときにこそ わたしは悟る。
小舟はそこに浮かんでいる 静けさが破られぬように
白い胴体がガラスのようになめらかな水面に映っている
ささやかな奇蹟 目的などまったくない。
はらみ綱にとまった鳥さえ 苦もなくそれをやりすごす
すこしばかり重心を移してから なんであれ
鳥が浸る瞑想にふたたび浸るのみ。
そして魚たちは 数フィート下の海中で
世界とのおだやかな 白昼の停戦を続けている。
わたしが目にするのは 彼らの輝き 宝石のようにきらめく鱗
ごくありふれた宝物を護るちいさな竜たち。
そして不思議に思う どうしてわたしたちは
青と黄金の網のなかで生きながら お互いに結びついているのに
そんなあたりまえのことを しくじってばかりいるのかと。




(ジェーン・ハーシュフィールドの詩「青と黄金の網のなかで」(In a Net of Blue and Gold)を拙訳で紹介させていただいた。詩中の「はらみ綱」(bow-line)は、船首と岸等をつなぐ綱のこと。この作品は、1988年に出版された彼女の詩集『重力と天使たちについて』(Of Gravity & Angels)に収められている――山内記)

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山内 功一郎(やまうち こういちろう)

アメリカ詩研究

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