わたしたちを結びつけるものには名前がある
強い力、弱い力。
見まわせば、それは見える
飲みさしのカップのなかで張る膜
自らがつなぐ場所で錆びつく釘
自らの重みで咬みあう蟻継の梁。
どこに据えつけられようと
しっかりとどまるものたちの姿――
科学者たちは言う 重力は弱いのだと。
そしてご覧なさい 傷口のうえを
肌がふたたび覆う様を とても激しく
ずっと力強い
すべすべした、無経験な、かつての皮膚などよりも。
馬のそんな肌には呼び名がある
黒々と盛りあがると、それはこう呼ばれる――「誇りの肌」
まるであらゆる肌が
自らの傷口を誇るかのように 戦いの後に
授けられる勲章を身につけるかのように
胸にピンでとめられたささやかな勝利の証――
そしてご覧なさい 二人が愛しあったあとに
それが二人のからだの間で
傷痕のようになる様を
かつてよりも力強く、黒々と、誇り高い
その黒い糸が けして裂いたり繕ったりできない織物を一枚
二人のからだから生み出す様を。
(このページでは、アメリカの詩人ジェーン・ハーシュフィールドの詩を拙訳で紹介させていただいた。ハーシュフィールドは1953年ニューヨーク生まれ、カリフォルニア在住の詩人。2009年3月には初来日を果たした。「わたしたちを結びつけるもののために」(For What Binds Us)は、1988年に出版された彼女の詩集『重力と天使たちについて』(Of Gravity & Angels)に収められている。物理学や医学関係の用語も垣間見える詩篇だが、ここでは注釈を控えさせていただいた――山内記)
わたしたちを結びつけるもののために
ジェーン・ハーシュフィールド









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