戦争が鳴いています
夜には戦争が鳴いています
戦争が鳴いて価値観を変えてしまいました
おめでとう おめでとう
もう眠らなくてもいいんだよ
おめでとう おめでとう
君を眠らせようとしていた組織は
もう、解体してしまったんだ
虫の足のようなものが彼方の山の上に浮いています
おめでとう おめでとう
君はもう、眠らなくてもいいんだよ
もう、君を無理に眠らせようと
目隠しをしに来る虫はいない
戦争は超音波を発して、その反射からまわりの物体の形を判断します
また、その反響を利用して物体の内部にある空洞を探り当てます
つまり、戦争は生き物の内部を超音波で認識することができるのです
戦争は人間の空洞に卵を産み付けます
戦争は人間の空洞に卵を産み付けます
戦争は人間の空洞に卵を産み付けるのだニャー
「いい子」が生皮を剥がれている
砂泥や青草の汁がワイシャツにこびりついている
生皮を剥がれても「いい子」は教室に来て授業を聞いている
あ、歌を歌い出した
蜜のような虹が
視線につれて町を被っていく
低く大きな月に鉄筋の足場が幾本も伸びて
無数の機械が往き来している
合唱をする声がどこかから響いてくる
路地で聖母がホームレスを暖めている
おだやかな未来の宵のために
僕たちはたくさんのものを握りつぶした指をぬぐわずに祈る
あの歌はなんていう歌だろう
皮を剥がれた「いい子」の歌う歌
「いい子」に歌を教えてもらいたいな
ipodに入れて帰りの電車の中で聞こう
戦争は人間の空洞に卵を産み付けます
戦争は人間の空洞に卵を産み付けます
戦争は人間の空洞に卵を産み付けるのだニャー
戦争が生皮を剥がれている 十七
及川俊哉
及川 俊哉(おいかわ しゅんや)
1975年岩手県生まれ。現在は福島県在住。
2005年、12月23日、は東京駅「銀の鈴」前で突如として「ウルトラ」2代目編集長に任命され、現在に至る。
2009年 詩集『ハワイアン弁財天』(思潮社)発表。









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