古代のコンピューターには“逆巻く蛇の河”とも
“泉の底に
すなわち手に負えない豊饒
決して飲み干せない火の酒。
それゆえ祝祭には
脈打つものは皆招かれる。
そしてひととき脈を休めるまで
浮かれ沈んで喉を焼く。
暗く乾いた荒野に月から血が滴り
枯れ枝に結ばれた固い芽が充血する。
こうして密かに整えられたテーブルで
宴は賑やかに始まる。
川面に草陰に枝先に蛇の眼が点り
魚が兎が鳥が、大慌てで飛び回る。
蝶の群れの竜巻が立ち昇り
蜜色の雲から蜂のざわめきがこだまする。
時の脈の高鳴りそのままに。
コンビニのガラスの箱舟の前に
中学生達がしゃがみ込んで塒を巻き
携帯メールと携帯ゲームが明滅する。
“GAME 0VER”に舌打ちした少年が
隣の少女の絵文字の踊る画面を横目に見た。
「のぞかないで」
少年は肩をすくめて立ち上がり
目前のどこまでも続く渋滞に眩暈を覚えた。
「蛇、だ」
数人が一瞬目を上げたが指はキイを打ち続ける。
ぼけ役が腰を上げ、よろめき嘆いた。
「ほんと、heavy」
少女は眉も動かさず、脈打つ一杯のハートを送信した。
時の脈
竹浪明
竹浪 明 (たけなみ あきら)
http://takenamiakira.jp
映像作家・文筆家・東京造形大学映画専攻非常勤講師。
「蘭賞」(俳句)、「平間至写真賞優秀賞」「文芸社ビジュアルアート社長賞」他受賞。
俳句×写真集『恐竜×ヴィーナス=17文字』(文芸社)、 写真集『象と大樹と子供たち』(角川学芸出版・収録写真によるTシャツが「赤十字グッズ」に)他。
監督映画『のら暦*ねこ休みネコ遊ビ*』(UPLINK)他。









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